お通夜と告別式の違いとは?どちらに参列すべき?服装のマナーも解説
1. お通夜とは
お通夜とは故人の家族や親族など身近な人が集まり、ろうそくや線香を絶やさないように一晩中ご遺体に付き添い見守る儀式のことです。
故人にとってはこの世を旅立つための、遺族にとってはそのお見送りのための準備期間でもあるのです。
遺族や近親者など限られた方が集い故人と過ごす最後の夜ですから、一般の弔問客は参列していませんでした。
しかし近年では冠婚葬祭に対する考え方の変化に伴い、お勤めされている方が仕事終わりに参列しやすい夕方以降に開始されるようになりました。
そのため「昼間の葬儀に行けない代わりに通夜に弔問する」という考え方が浸透しています。
寺院や葬儀場で執り行なわれるお通夜に、お身内以外のご近所の方や会社関係、友人知人など故人とお付き合いのあった方が参列するようになりました。
そのため都市部では葬儀・告別式よりお通夜への参列者が多いのが現状です。
お通夜に参列する場合、弔問客は黒や濃紺などの地味な色味の平服であれば問題ないとされていますが、遺族・参列者はともに喪服が望ましく、男性はブラックスーツにブラックタイ、女性はブラックフォーマルを着用します。
2. 告別式とは
先述したように、お通夜は遺族・親族が中心となり、ろうそくや線香を灯し邪霊から故人を守りながら一晩を過ごす儀式です。
また故人との最後の別れを過ごす時間でもあります。
しかし現在では遺族・親族以外の故人とのお付き合いのあった方も参列し、葬儀と同じように読経、焼香、通夜振舞いまで行われる宗教的儀式となっています。
宗教的儀式であるお通夜に対し、告別式は故人と縁のある方々が最後のお別れをする場であると共に、故人の死を広く世間に知らしめる社会的儀式でもあるため、宗教色が薄いのが特徴です。
このように葬儀と告別式は全く別の儀式であり本来ならば別々に執り行なうものですが、近年では葬儀と同日同時に行われることが多いようです。
その内容はと言いますと、焼香、弔辞、弔電の拝読、喪主挨拶などが行われます。
今では当たり前のように行われる告別式ですが、日本で初めて告別式を行ったのはフランス学者の中江兆民ということはご存じでしょうか。
無宗教的な考えを持っていた中江が亡くなった明治30年、無宗教者の別れの場として設定した初めての告別式でした。
しかしこの新しい考え方は当時かなり議論があったようです。
3. お通夜と告別式、どちらに参列すべき?
突然、訃報が届いたらお通夜と告別式のどちらに参列したらよいのでしょうか。
先述したようにお通夜とは、故人の家族や身近な人が集まり故人を見守る場であることが本来の形です。
親しい間柄でしたらお通夜、葬儀・告別式の両方に参列しても差し支えありません。
故人とは会社関係や知人といった関係性でしたら、葬儀・告別式に参列できない場合を除き、通夜ではなく葬儀・告別式に参列する方が望ましいでしょう。
しかし、近年ではお葬式のスタイルも多様化し、冠婚葬祭に対する考え方も変わりつつあります。
日中に行なわれる葬儀に参列するより夕方から始まる通夜の方が会社帰りに参列しやすいなどの理由から、遺族・親族以外は通夜に参列する方が多くなっています。
もし仕事関係者として参列するようでしたら、通夜と葬儀・告別式のどちらに参列したらよいのか会社へ確認してみるのもよいでしょう。
4. 忌み言葉には注意
冠婚葬祭の場では縁起が悪いと受け取られやすい「忌み言葉」があります。
悲しみの場で注意が必要な「重ね言葉」、「宗教的な言葉」、「死に関する(連想)言葉」について解説します。
重ね言葉は不幸が重なると連想されるため使用は控えます。
どうしてもというときは「重ね重ね」は「深く・かさねて」、「返すがえす」は「本当に・まことに」などに言い換えます。
宗教的な言葉では、他宗教・宗派の言葉を使用すること自体がマナー違反なので特に注意が必要です。
同じ仏教であっても浄土真宗では「冥福」「霊前」は使いませんし、「浮かばれない」「迷う」は仏教の教義にそぐわないため使いません。
「天国」は仏教では使用せず、「お悔やみ」はキリスト教では使用しません。
また、死ぬ・死亡・永眠・逝去なども死を連想させる、直接過ぎる言葉なので悲しみの場での使用は避けましょう。
5. お通夜や告別式に参列できない場合の香典の渡し方
お通夜や葬儀に参列できないときの香典の送り方にも気を付けなければなりません。
しっかりポイントを押さえておきましょう。
現金を郵送するには法律で、現金書留の封筒以外は使用できない、と定められていますので必ず現金書留の封筒を使用します。
また、現金を直接入れたり香典袋以外の白い封筒を使用することは失礼に当たりますので、必ず香典袋に入れて送るのがマナーです。
送り方は封筒の閉じ口に3カ所の割り印もしくは署名をし、郵便局の窓口で手続きをしなければなりませんので気を付けましょう。
香典の金額は年齢や故人との関係性で変わってきます。
年齢が若ければ低く、年齢が上がるにつれ高くなる傾向にあります。
これに故人とのお付き合いの度合いやお世話になった感謝の気持ちなどで増額することもあります。
郵送の際に香典と一緒に、お悔やみの言葉などご遺族の悲しみに寄り添う内容のお手紙を同封するとよいでしょう。
送るタイミングは遅くても葬儀終了後、1週間から1カ月以内に喪主当てに届くようにします。
6. お通夜や告別式に参列する際の服装
ご遺族の場合、仮通夜であれば参列者はおらず、ごく親しいお身内だけなので喪服でなくても問題ありません。
ただし、派手な色や柄物、殺生を連想させる毛皮類は避け、黒やグレーなどの地味な色味を選び、故人を長時間見守っても疲れないリラックス出来るものを選びましょう。
本通夜ではご遺族・ご親族は喪服を着用します。
男性はブラックスーツにブラックタイ、女性はブラックフォーマルで参列します。
一般の参列者はその限りではありません。
とはいえ最近は、ご近所や会社関係など親交のあった方々は「昼間の葬儀に行けない代わりに通夜に弔問する」という考え方が慣例化しているので、葬儀ではなくお通夜に喪服で参列される方が多いようです。
バッグや靴、小物なども喪服に合わせてフォーマルなものを揃えます。
会社帰りにお通夜へ参列する場合、喪服が用意できないこともあると思います。
その時は黒やグレー、濃紺などの地味な色合いであれば平服でも問題ありません。
ただし気を付けたいのは、女性のメイクやネイルです。
服装は気を付けても、普段のままのメイクやヘアスタイルでは華やかに見えたり、ネイルが目を引くこともあるでしょう。
悲しみの場を意識してメイクは色味を抑えた薄化粧にし、すぐに落とせないネイルは手袋を着用することで目立ちません。
アクセサリーはパールのネックレスやイヤリング(ピアス)は基本的に問題ありませんが、結婚指輪以外の華美なアクセサリーは外しておきましょう。
7. まとめ
葬儀に対する考え方の変化に伴いこれまで常識だと思っていたものが、意味合いを変えている場合もあります。
急なご不幸に見舞われても慌てずに済むように、ルールとマナーもアップデートしておきましょう。