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1. そもそも神式葬儀とは?

外国の方ら見ると日本人は無宗教者が多いと言われていますが、お葬式は仏式で行うことが多いのではないでしょうか。
今回は神式のご葬儀についてご紹介します。

神式のご葬儀の歴史は古く、現存する最古の書物「古事記」には日本固有の葬儀の様子が記されています。
それによると、アメノワカヒコという神が亡くなった際の弔いの様子が記されており、神式葬儀の始まりとされています。
それでは神式と仏式のご葬儀の違いとは何でしょうか。

一つ目は、信仰対象が挙げられます。
仏教では仏様を崇拝し経典がありますが、神道では信仰対象や経典はありません。
なぜなら、命あるモノ、そうでないもの、果ては自然現象など森羅万象に「神」が宿ると考えているからです。

二つ目は死生観が挙げられます。
仏教(浄土真宗以外)では死後、極楽浄土へ送るとされていますが、神道では死後は家の守護神になるという考えです。
ですから神道のご葬儀は「送り出す」のではなく「神として迎え入れる」ための儀式なのです。

2. 神葬式を行う場所

私たちに最も馴染みのある仏式の葬儀では、お寺や斎場、葬儀場などで執り行ないます。
最近ではコロナの影響を受け、自宅葬も選ばれているようです。
神式の場合も斎場や葬儀場で執り行ないます。
この点は仏式と同じですが、神式の場合、神社でご葬儀は行いません。
その理由として、先述した「死」に関する解釈の違いが挙げられます。

神道では、死を気が枯れた状態の「穢れ」であると考え、精神的な意味合いで不潔、不浄な状態として捉えています。
そのため神聖な場所である神社では穢れ(死)を嫌い葬儀は執り行なわないのです。
それでは神式のご葬儀の流れについて見てみましょう。

3. 主な神葬式の流れ

3-1. 帰幽奉告

訃報を聞いた後、まず初めに「帰幽報告」を行います。
これは、故人の死を神棚や仏壇に相当する祖霊舎(それいしゃ)に報告し、穢れが神棚(神様)へ移らないよう扉を閉め、半紙などの白い紙を貼る一連の儀式のことです。

3-2. 枕直しの儀

ご遺体に末後の水、清拭、死に化粧などを施し、身なりを整えた後、北枕で殯室(遺体を安置する部屋)へ移します。
枕もとには祭壇を設け、お米・お塩・お水・お酒などの他に、故人の好物をお供えします。

3-3. 納棺の儀

納棺の儀は仏式とほぼ同じです。
故人に白装束を着せ、棺に安置する儀式のことです。
中には白装束を着せず、上から白い布を掛けるだけのこともあるようです。
納棺後は忍び手(音を立てない拍手)で二礼二拍手一礼の礼拝を行います。

3-4. 通夜祭

仏式のお通夜に当たるのが通夜祭です。
一般的には神職による祭祀(祝詞)が述べられ、その後、参列者は焼香ではなく玉串をささげて礼拝などを行います。
なかには雅楽の演奏が行われることもあるようです。

3-5. 遷霊祭

神職が故人の遺体から御霊を抜き、白木の霊璽(仏式の位牌にあたる)に遷す儀式のことで、御霊写しとも呼ばれています。
この儀式の際は夜を模して部屋を暗くして行うのが一般的です。
この儀式により、魂が抜けた遺体は亡骸になると考えられています。

3-6. 葬場祭

「葬場祭」とは仏式の葬儀・告別式に当たる儀式で通夜祭の後に行われます。
神葬祭のメインとなる重大な儀式で内容は通夜とほぼ同じ流れを執り行ないます。
弔電の奉読、祭詞奏上、玉串奉奠、喪主挨拶などです。
葬場祭が故人に別れを告げる最後の機会です。

3-7. 火葬祭

火葬場で行われる荼毘に付す前の一連の儀式が「火葬祭」です。
神職による祭祀奏上、親族による玉串奉奠などが行われます。
葬場祭に参列された方全員が火葬場まで行くとは限りません。
事前に確認しておくとよいでしょう。

3-8. 埋葬祭

火葬直後に遺骨を埋葬するための儀式のことです。
しかし近年では、気持ちの整理をつけるために一度お骨を自宅に持ち帰ることもあるようです。
そのような場合は「五十日祭」(仏式の四十九日)までに埋葬することが多いようです。

3-9. 帰家祭

自宅へもどったら塩・手水で身を清め、神葬祭が無事終了したことを霊前へ報告します。
これを「帰家祭」と呼びます。
この後、神職やお世話になった方を精進落としにあたる「直会(なおらい)の儀」でねぎらいます。

4. 神葬式独自の儀式

4-1. 神棚封じ

帰幽報告のさいに行った、神棚を半紙などの白い紙で塞ぐ儀式が「神棚封じ」です。
これは神棚や祖霊舎が穢れに触れないようにするために行う儀式の一つです。
期間は神棚へ故人の死を報告した時(帰幽報告)から喪明けとされる五十日祭(仏式の四十九日)までです。
この期間は故人へのお祀りを優先し、五十日祭を迎えたあとは普段通りのお祀りを行います。

4-2. 玉串奉奠

神葬祭では何度も玉串奉奠(たまぐしほうでん)の場面が出てきますが、玉串奉奠とは何でしょう。
まず玉串ですが、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)と呼ばれる白い紙を付けたもののことです。
諸説ありますが榊は神聖な木とされており、紙垂も神域と俗界の境界線としての役割があるとされています。

次に奉奠(ほうでん)ですが「つつしんで供える」という意味があります。
つまり「神聖な玉串をつつしんで神に供える」ことを意味します。
それでは際の捧げ方を見てみましょう。

1.神職から両手で玉串を受け取ります。
2.玉串を胸の高さに維持しながら、右手で根元部分を、左手で葉に近い部分を持ちます。
3.玉串を地面に対して垂直の状態にします。左手が上、右手が下です。(両掌が自分向き)
4.左手を下げてきて玉串の根元部分、右手は玉串の中ほどを持ち、玉串の上下が逆になるよう時計回りに180°回転させます。
5.玉串の付け根が遺影に、枝の先が自分の方を向くようにして指定の場所に玉串を静かに置きます。
6.遺影に2回お辞儀をして、忍び手で2回拍手を打ち、最後にもう1回お辞儀をします。
宗派によって作法は様々ですが、基本を覚えておくとよいでしょう。

5. 神葬式で注意したいマナー

5-1. 挨拶マナー

悲しみの場でご遺族や関係者にお悔やみの言葉をかけることもあるでしょう。
その際、宗教ごとの死生観の違いによりマナーも変わってくるので注意が必要です。

まず、神道では命はいずれ神に返すものであり、死後の魂は子孫を守護するために家に祀られるので、哀悼の意を述べることは不適切とされます。

もう一点注意したいのが仏教用語は使わない、ということです。
悲しみの場では「冥福」や「供養」、「成仏」といった言葉をよく耳にしますが、仏教用語なので神式のご葬儀では使わないよう気を付けましょう。
どうしても気持ちを伝えたいときは「御霊のご平安をお祈りします」などに言い換えます。

5-2. 服装マナー

神葬祭に参列する際の服装についてですが、基本的には仏教式の通夜・葬儀と変わらない装いで問題ありません。
通夜でしたら男性はダークスーツ、女性は地味な色のスーツなどがよいでしょう。
ただし、葬儀に当たる遷霊祭に参列せず、通夜祭のみを予定しているようでしたら、喪服で参列される方が多いようです。

遷霊祭には男女とも清潔感のある喪服での参列が一般的です。
仏式でも同じですが、殺生を連想させる爬虫類系の素材を用いたバッグや靴、毛皮のコートなどは着用を控えたほうがよいでしょう。
また女性は日常身に着けているような華美なアクセサリーは外し、メイクも薄化粧を心がけましょう。

5-3. 持ち物マナー

挨拶と同じくらい気を付けたいのが持ち物のマナーについてです。
まず神式葬儀の不祝儀袋についてですが、白黒もしくは双銀の水引を用いたものが一般的です。

花の絵が描かれている不祝儀袋は要注意です。
蓮の花が描かれているタイプは仏式用、百合の花が描かれているのはキリスト教で使用するものなので神式では使用できません。

次に香典の表書きですが、神式では御榊料(おさかきりょう)、御玉串料(おたまぐしりょう)、御神前(ごしんぜん)がよいでしょう。
もしくは色々な宗派で使える御霊前でも問題ありません。

香典の金額ですが、故人との関係性、年齢、親密度、地域性なども考慮して決めます。
心配なようでしたら、会社や地域の方に相談するのも良いでしょう。

ご葬儀の持ち物といえば数珠が頭に浮かぶと思いますが、神式の葬儀の祭には数珠は持ちません。
なぜなら、僧侶が経を唱えるときに使用するものだからです。

仏式での葬儀に馴染みがあるかもしれませんが、うっかりした言動が相手の気持ちを傷つけることがあるかもしれません。
宗教の違う葬儀の際は特に注意が必要です。

6. まとめ

葬儀の中でも神式は仏式とはずいぶんと勝手が違い、戸惑うこともあるでしょう。
今は一般的な流れでも、時代に合わせて徐々に変わります。
突然の訃報の際にも慌てず対応ができるよう、日頃から作法やマナーを学んでおくとよいでしょう。

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FORMAL MESSAGE.com編集部

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